
写真を撮ろうとしたら「ヌルリ!」と逃げられた。
40年程前にキャンプで訪れた上流部の鱒たちは今よりも確実に<おっとり>していた。
なぜなら手づかみで捕らえられたから、ウソではありません。
まず、一抱えほどの石に後ろからソ~ッと近づき上からソロソロと手を石に這わして下げていく。
そしてヌメッとした感触を指先に感じたら(不思議とこのとき逃げないのだ?)そしてここが大事!視界をふさぐように頭を包み込み同時にもう一方の手で胴体をしっかり押さえ込む。
その驚くべきワザを披露した先輩によると「魚は後ろに泳げんベ!」ということなのだがボクは一日ではそのワザは会得出来なかった。しかしヌメッとした感触は今も忘れない。
ちなみに塩焼きにされて食べ盛りの悪ガキ達の腹におさまったその鱒の正体はその頃のボクには皆目判りません。
十勝の川は<良くも悪くも>今では国策によって放された生命力の強いレインボーの川、アメマス、オショロコマは肩身の狭い想いで生きている。
そして時々手にするイワナ属のヌメッとしてプヨプヨした感蝕は一瞬悪ガキ仲間のキャンプの夏を思い出す。